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【第1回】 PDCAって何?

2017年4月

4月、いよいよ新学年がスタートします。生徒の皆さんは1つ大人になった気分で新しい教室での日々を過ごしていることでしょう。しかし学年が上がることで学習内容の難度が上がりますから、きちんと理解していくためには復習が必要になってきます。

小学生、中学生、高校生で、日々の復習の姿勢が作れている人はどのくらいいるでしょうか。誰に何を言われなくても定期的に、そして効果的に復習ができている人はなかなかいないものです。もちろんその重要性は分かっていても、なかなかやる気が起きない、何をしていいか分からないという人もいるでしょう。

また、習い事や部活動のためになかなか時間が取れないという人も少なくありません。また、復習が重要だから姿勢を作ろうとして学習計画を立てる人もいますが、うまく計画が立てられなかったり、実行してみても集中力が続かなかったり、3日坊主で終わってしまったりと、せっかくの計画も挫折してしまう人が後を絶ちません。復習を中心とする学習習慣は一朝一夕に身に付くものではないからです。

そこで、学習習慣を身に付けるために「PDCAサイクル」を活用していきます。

「PDCAサイクル」とは、もともとは事業活動における管理業務を円滑に進める手法の1つです。

「Plan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Action(改善)」

を繰り返すことによって、業務の中で問題点を見つけて改善策をつくり、よりよいものをつくって継続していくことに役立っています。このサイクルを自分で構築して、円滑に運営できれば、いろんな物事がスムーズに進められるようになります。

しかし、社会に出てからいきなり「PDCAサイクル」を作ろうとしてもなかなかうまくはいきません。日々の学習姿勢づくりに「PDCA」を活用することで、サイクル構築の練習にもなります。学習姿勢はできるし、社会に出て役立つ力もついて一石二鳥です。

では、これを小学校、中学校、高校の学習姿勢構築に置き換えてみると・・・

1. Plan(計画)

志望校合格や成績向上などの目標を達成するために「何でもいい」ではなかなか望むような力はつけられません。まずは到達したいレベル、つけたい力を設定します。次に、その力をつけるためにはどんな知識が必要で、どんな練習がどれだけ必要で、そのためにどんな教材を使うのかを考えなければなりません。また、到達目標に達したかどうかを確認するためのものも準備しておかなければいけません。この「P」という作業そのものはやったことがあるという人も多く、特に中学生や高校生は定期テスト前にこういった計画を立てている人も多いでしょう。しかし、効果的な計画を作り上げるには、数多くのポイントがあります。ポイントが欠けていると、次の「D」の作業で影響が出てしまいます。

2. Do(実行)

「P」で立てた計画を実行していきます。計画通りに作業するだけではあるのですが、前述したように「P」に問題があった場合、「D」の実行はどこかでうまくいかなくなります。もちろん、「P」自体は良いものが作れていても、体調が悪くなったり、家族で出かける用事ができてやるべきことができなかったり、習い事や部活動の疲れが原因で集中できなかったり、途中で寝てしまったりということが起こり、調子よく進んでいたこと、続いていたことが滞ってしまい、挫折の原因になることもあります。「D」を計画通りに実行していくためには、そのための仕組みづくりも必要不可欠なのです。

3. Check(評価)

「P」で立てた計画を「D」で実行してみた結果、どんなところがうまくいき、またうまくいかなかったのかを確認します。「P」で準備しておいた到達目標に達することができたかどうかをチェックするツールを使い、その結果を見ます。

4. Action(改善)

「C」の結果から問題点を発見し、改善します。まず「P」に問題はなかったのでしょうか。学習時間や学習日、学習内容や使用する教材や解く問題のレベルに問題はなかったでしょうか。次に「D」を実行するうえで問題はなかったのかを確認します。学習環境は整っていたのでしょうか。集中できなかった人、継続できなかった人は、その原因を確認する必要があります。この「A」の作業でしっかり「P」や「D」の問題点を確認し、改善策を加えた新しい「P」の構築につなげていきます。

上記を使って具体的に学習計画を立て、実行し、サイクルをつくると以下のような流れになります。

☆具体例☆「数学の計算力向上」(中学3年生)

P 毎週火曜日と金曜日に30分ずつ時間をとる。教材は塾で使用している教材を使う。中1・中2の計算基本問題が満点をとれるようにする。
D 3/28(火)からスタート。計画的に取り組む。
C 3回は続いたが、4回目はやる気が出なくて取り組めず、5回目以降はそのまま挫折。力はついていない。
A 計算特訓を始める時刻をしっかり決める。チェックテストをしてできるようになったかをチェックする。

 

計画自体は立てたことのある人も多いでしょう。実行してみて上手くいったという人もいることでしょう。しかし、例でも挙げたように途中で続かなくなり、挫折してしまう人も決して少なくありません。実現できれば大きな力になる「PDCA」ですが、このサイクルを円滑に回していくのはなかなか難しいことでもあるのです。

次回から、うまくサイクルを回していくために、「PDCA」のそれぞれの作業について、具体的にどういうことをしていけばいいのかをもっと深く掘り下げて説明していきます。


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